コラム

2021.05.16

同時廃止事件か管財事件か

個人債務者破産事件について、このサイトでは、同時廃止事件と(少額)管財事件の2種類があることが書かれてあります。

今回のコラムでは、どのような基準で「同時廃止事件」と「管財事件」の手続選択をするのかについて書きます。同時廃止事件と管財事件の振り分け基準について、インターネットで検索すると、東京地方裁判所や大阪地方裁判所などの基準を見ることができますが、全国の地方裁判所で一律の基準を取っているわけではありませんので、注意しましょう。

ここでは、京都地方裁判所の現在の振り分け基準を書きます。もっとも、具体的な事件処理に際し、個別の事案に応じた判断がなされる場合があることにも気をつける必要があります。

京都地方裁判所では、以下(1~3)の財産を有する場合は、原則として管財事件としています。

1.現金と預貯金(申立直前の年金・給与を原資とする普通預金及び通常貯金)を併せた金額が50万円以上の場合。

2.個別の財産(同種のものが数口ある場合には、それらを合算した金額を基準とする。)が20万円以上の場合。但し、預貯金については、申立直前の年金・給与を原資とする普通預金及び通常貯金を除く。

3.上記2に該当しない場合でも、全体(但し,現金及び上記1の預貯金を除く。)の合計額が多額になった場合。

 

上記1~3の基準について、さらに裁判所から補足説明がなされていますが、ここでは割愛します。

「具体的な事件処理に際し,個別の事案に応じた判断がなされる場合がある」ということですが、上記財産の基準では同時廃止事件になることから、同時廃止事件として自己破産申立てをしたものの、裁判所が、破産管財人を選任してさらに免責調査等をさせる必要があると判断して、管財事件に移行させる場合があります。

なお、上記の振り分け基準は、平成30年4月1日以降に京都地方裁判所に申し立てられる破産事件の基準であって、今後も不変というわけではありません。基準の見直し等がありましたら、新たな基準を記したいと思います。