コラム

2021.07.25

同時廃止事件か管財事件か・その4

1.前回までのコラムでは同時廃止事件と管財事件について、どのような基準で手続選択をするのかについて、やや細かい基準を取り上げました。

今回は、実際によく見られる例として、申立人が住宅ローンの残っている不動産を所有している場合を取り上げます。ここでも京都地方裁判所に申し立てる場合を想定しています。

2.まず大枠について述べますと、不動産の固定資産税評価額と,抵当権の被担保債権残額の比較により、同時廃止事件として申し立てるか管財事件として申し立てるかを決めます。

3.前提として、一般的に,固定資産税評価額は、不動産時価の70%程度と言われています。さらに、京都地方裁判所では、同時廃止事件として申し立てる場合に、抵当権の被担保債権残額が固定資産税評価額の1.5倍を超え2倍までの場合に、不動産の評価に関する書類が申立時に必要です。

4(1)そこで、抵当権の被担保債権残額が固定資産税評価額の2倍を超える場合は、迷わずに同時廃止事件として申し立てます。

 (2)抵当権の被担保債権残額が固定資産税評価額の1.5倍を超え2倍までの場合は、不動産の査定書を取り寄せた上、不動産査定額が抵当権の被担保債権残額を超えない場合は同時廃止事件として申し立て,超える場合は管財事件として申し立てます。

 (3)抵当権の被担保債権残額が固定資産税評価額の1.5倍未満の場合は、管財事件として申し立てます。

 

当事務所では、管財事件として申し立てることによる申立人の様々な負担等に鑑み、安易に(同時廃止事件として申し立てることができるのに管財事件として申し立てることを意味します)、管財事件として申し立てることのないよう心がけています。