コラム

2024.09.29

自己破産と住所変更(引越し)

 破産申立書は,申立人の住所地(住民票上の住所地ではなく,実際に居住している所)を管轄する地方裁判所に提出します。もっとも,営業所のある営業者が破産申立てをする場合は,主たる営業所の所在地を管轄する地方裁判所が管轄裁判所となるので注意が必要です。

 では,地方裁判所に破産申立書を提出し,その後に破産手続きが開始された場合,住所変更(引越し)することに制限は生じるのでしょうか?

 この点,管財事件では,裁判所が破産手続開始決定を出すことにより,申立人は破産者となりますが,破産者は,その申立てにより裁判所の許可を得なければ,その居住地を離れることができません(破産法37条)。実務上,破産申立代理人が破産管財人に住所変更の同意を求め,同意が得られた場合,破産申立代理人は裁判所に(同意欄に破産管財人の記名押印のある)許可申請書を提出します。

 一方,同時廃止事件では,破産手続きは破産手続開始と同時に廃止されるため,原則的に居住の制限は受けません。もっとも,破産手続開始決定から免責許可決定が出るまでの間に住所変更した場合,(住民票を移動させた場合は住民票を添付した)住所変更の上申書を裁判所に提出し,住所変更を報告しなければなりません。