同時廃止事件か管財事件か
個人債務者破産事件について、このサイトでは、同時廃止事件と(少額)管財事件の2種類があることが書かれてあります。
今回のコラムでは、どのような基準で「同時廃止事件」と「管財事件」の手続選択をするのかについて書きます。同時廃止事件と管財事件の振り分け基準について、インターネットで検索すると、東京地方裁判所や大阪地方裁判所などの基準を見ることができますが、全国の地方裁判所で一律の基準を取っているわけではありませんので、注意しましょう。
ここでは、京都地方裁判所の現在の振り分け基準を書きます。もっとも、具体的な事件処理に際し、個別の事案に応じた判断がなされる場合があることにも気をつける必要があります。
京都地方裁判所では、以下(1~3)の財産を有する場合は、原則として管財事件としています。
1.現金と預貯金(申立直前の年金・給与を原資とする普通預金及び通常貯金)を併せた金額が50万円以上の場合。
2.個別の財産(同種のものが数口ある場合には、それらを合算した金額を基準とする。)が20万円以上の場合。但し、預貯金については、申立直前の年金・給与を原資とする普通預金及び通常貯金を除く。
3.上記2に該当しない場合でも、全体(但し,現金及び上記1の預貯金を除く。)の合計額が多額になった場合。
上記1~3の基準について、さらに裁判所から補足説明がなされていますが、ここでは割愛します。
「具体的な事件処理に際し,個別の事案に応じた判断がなされる場合がある」ということですが、上記財産の基準では同時廃止事件になることから、同時廃止事件として自己破産申立てをしたものの、裁判所が、破産管財人を選任してさらに免責調査等をさせる必要があると判断して、管財事件に移行させる場合があります。
なお、上記の振り分け基準は、平成30年4月1日以降に京都地方裁判所に申し立てられる破産事件の基準であって、今後も不変というわけではありません。基準の見直し等がありましたら、新たな基準を記したいと思います。
自己破産か個人再生か
借金の総額が膨れ上がって、支払不能やそれに近い状態になった場合に、債務整理の方法として「自己破産」を思い浮かべる方が多いかと思いますが、「個人再生」の方法もあります。
「自己破産」と「個人再生」について、借金の免除額を比較すると、全額免除される自己破産と比べて、個人再生は、借金額が1500万円未満(住宅資金特別条項付の場合の住宅ローン額を除く)の場合、最大でも5分の1まで減額されるにとどまるとも言えます。
したがって、借金免除額をさしおいて、自己破産の方法を取るよりも、個人再生の方法を取る方がメリットが大きい場合に、個人再生の方法を取ることになります(もっとも、当然ですが「個人再生」の利用要件を満たす必要があります。この点については別の機会に触れたいと思います。)。
では、「個人再生」のメリットは何でしょうか。
1つ目の「個人再生」メリットとして、「住宅資金特別条項」を利用できる場合は、住宅ローンを現に支払っているマイホームを手放さずにすむことが挙げられます。住宅ローンを引き続き支払いながら何とかマイホームを残して債務整理をしたいと考える方にとって、「住宅資金特別条項」付きの個人再生は、メリットが非常に大きいと言えます。
2つ目の「個人再生」メリットとして、自己破産の場合には存在する職業制限がないことが挙げられます。具体的には、自己破産では、警備員、生命保険募集人、宅地建物取引士などの職業について、一定の期間就くことができません。
実際、これらの職業に就いて現に業務に従事しているために、自己破産を避けて個人再生の方法を選択される方がおられます。
3つ目の「個人再生」のメリットとして、自己破産では手放さなければならない可能性の高い財産を残せることが挙げられます。
その他にもメリットはありますが、代表的なものを書きました。
なお、「自己破産で全額免除を受けるのは、債権者者の方々に申し訳なく、借金の一部でも返済する個人再生の方法を取りたい。」と考え、個人再生を選択される方も中にはおられます。
時効援用
①時効援用について
時効援用について少し触れたいと思います。
貸金業者から借り入れをした後、その貸金業者から裁判上の請求もされることもなく最終返済日から5年以上(10年以上)経過してから、「突然、債権回収会社から借金の請求書が届いた。どうすればいいの?」と慌てて相談に来られる方がおられます。この場合、「消滅時効の援用」をすることにより、借金の消滅時効が成立する場合があります。これにより借金の返済義務がなくなります。当事務所では、「配達証明付きの内容証明郵便で債権者に時効援用通知を送付する」ご依頼も承っております。
弁護士費用は1社あたり33,000円(税込)です。
上の例のような請求書が突然届いた後、思わず一部でも返済をすれば,時効完成後の債務の承認となり、以後、時効の援用権の行使ができなくなる場合があります。一人でどうするか判断することなく,弁護士等の専門家に相談しましょう。


